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              樹林鹿文釉下彩

高     さ   7.3㎝
     
製 作 年   明治37年頃~大正5年頃
     
時代区分   釉下彩後期
     
収 納 箱   共箱 なし
     
     
        

欧米と出合った香山

 解説 関 和男

          
 

本作品は、小形香炉である。本作品は、その器銘から明治37年以降に製作である。その造形・文様に後期作品の特徴が表れている。

  本作品は釉下彩の鹿をポイントにし、樹木の間から山林の遠景を描いている。香炉を外器と内器の二重構造になっており、遠景部分を内器に描き、外器の木々の間をカットし、窓絵風に仕上げている。それでもって、遠近感を演出している。内器・外器の二重構造器形化は幕末京焼で、よく涼炉に見られる。

  本香炉を見れば、その文様はヨーロッパ風樹木の描き方である。更に、本香炉の外器を樹木に合わせて不規則にカットしている。それは日本文様の窓絵の形式をリアルに変形させている。これらのことを合せて見れば、本作品は香山が感じた欧米の写実主義と思える。

  しかし、本作品は、欧米化の流れと合せながらも、染付でもって静寂さを漂わせ、鹿を小さくすることにより、風景に拡がりを見せている。小さな美と言う日本的美意識が宿っている。香炉という和道具の趣きを崩していない。

 本作品は釉下彩という欧米の技術を用い、樹木文様で欧米美意識を取り入れながら、香炉という日本の道具を作り出している。そこでは明治の和風の美を表現した、優れた小品である。

 
                                                                                                             
          
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